Like A Rolling Stone

僕は人を励ますときは、必ず僕の必ずしも成功とは言い切れなかった過去の話をする。ここではちょっと話せないが、行ってしまえば失敗を恐れる人間に失敗の話をするのだ。惨いと思ったことは何回もあったけれど、何かと効果はないわけではないかなと思ってもいる。

僕は一番最初の関門に失敗していて、まるでその辺に転がった石ころのように、みんなにどうでもいいと思われ、いつだって弱者は強者に踏みつぶされる現実を見てきたしそれに不満を抱いたことはない。

負けず嫌いではあったので第二の関門を突き破ることはできたが、それまでの努力というものはあまり人には認められなかったし、それに一番見返したい人物になんだか肩透かしを食らったような思いにさせられた。

いつもいうのは、挫折なんて、いつだってしているということ。医者になりたい気持ちなんて、今になってはほとんどなくなってしまったが、少なくとも、挫折というのは得てして常に人に降りかかるものだし、人はそれを不条理だと思うのはあまりに傲慢だともいえる気もする。

しかしながら、成功した人間は挫折したかといわれると、特に今の人間は非常に是節しらずのわがままな、短気な、ある種詐欺的な厳しい手口で、上に登っていくので、あまり挫折を知らない。

結論なんて出せないが、努力をして、そのうえで失敗したことがない人間に、人の上になんか立ってほしくない。親に涙を見せたくなくて風呂でシャワーを頭にかけながら泣いた日々を、毎日悲しい音楽を口ずさんで涙ぐんだ日々を、知っている人間は強い。

ぼろ雑巾のようになりながら、地を這って進むしか。